文弱日記

文学とサブカルとお役所生活

FAKE野郎だよ

母へのお見舞いのフルーツを買いに、渋谷のデパ地下を彼女とグダグダ歩いていると、彼女の元カレに出会った。

彼女と元カレ、お互いを認識し合ってからもどちらも歩みを止めることなく、すれ違いざま二、三ことばを交わして通り過ぎた。

 

「な、ブサイクだったでしょ?」

「彼がよく聞く阪大の人か。帰省中なのかな」

「それにしても会ったのがオマエの仕事帰りでよかった。私服だとクソダサく思われるから」

「よく見られたいの?」

「当たり前じゃん。最高に幸せに見られたいんだけど」

「別れた原因ってさ、」

「彼の友人ウケが良くなかったから私から振ったの」

「自分から振ったのにそれなぁ…」

 

自分から振った、捨てた相手にすら『幸せな今の自分』を見せたい。

なんて傲慢な考えなんだと思った。振られた相手ならまだしもさ、相手の古傷に塩を塗る行為、何が楽しいんだろう。

 

ぼくは、元カノたちにはとても惨めで醜い今のぼくを見てほしいと思っている。

「なんで好きだったんだろう?」

「別れててよかったーw」

そう思われて笑われたい。

贖罪なんてきれいなものではなく、これはただの自己満足。

 

充実した毎日の中、今も元カノたちと繋がったSNSで、ぼくは最低な日々を惨めに過ごすFAKE野郎をやっている。