文弱日記

文学とサブカルとお役所生活

嫉妬の話

妻には浮気癖がある。「これは病気だ」と本人は言うし、ぼくもそうなんだろうな、と最近思えてきた。

むかし、まだ妻が彼女だったとき、その浮気癖を咎めたことがあった。そしたら一言。「私の浮気はお前の浮気とは違ってお金がかからない。なんならタクシー代だって稼げたりする。なんで責めるの?!」

確かにそのとおりだ。ぼくはひねくりまがったオタク。倫理なんて持ち出して浮気の絶対悪を訴えかける柄じゃない。

「おっしゃる通りでございます。」

以来ぼくは彼女の朝帰りにとやかく言わなくなった。それからというもの、妻は事細かに浮気の事後報告をぼくにしてくるようになった。「その人へんな人だね」「いいなーいいもの食べれて」相槌を打つ。

「ぼくの身内とは絶対しないこと」「避妊すること」「過度にお金を使わないこと」、この3つのルールは守ろうねとぼくは言う。

むかし、とらドラ!を見て、かんなぎを見て、NHKにようこそを見て、大好きなヒロインが主人公と結ばれるところを見て、心が苦しくなった。主人公が憎らしく感じた。ネットに上がっているおもしろ画像みたく原作本を破き捨てたい衝動に駆られた。愛とはそんなものだと思っていたけど、実際は違うみたい。きっとあれは本で学んだ人工的な感情なんだと思う。

ただ、この文章を書いていて思い出した。むかし、元カノから元カレの話を聞いたときのあのモヤモヤ、心が流血しているようなあの感覚、これらには今でも触れることができる。仕事最中、ふとした拍子でその時のことを思い出し、「あー!」と叫んでしまったことが最近もあった。もうなんでもないのに。きっと、あのときのあの感情はウソではなかった。