文弱日記

文学とサブカルとお役所生活

外道節

ちょいとそこ行く皆様方よ
ぼくの話を聞いてはいかぬか
お代はいらない聞くだけ得だよ
猟奇漂う怪しい話じゃ
名乗り遅れた私の名前は
ネコ神博士と申すものです

 

 高校時代と浪人時代、上記のような歌い出しから始まる筋肉少女帯の迷曲『外道節』をよく聴いていた。夢野久作の『ドグラマグラ』と江戸川乱歩の『孤島の鬼』をゴミ箱に突っ込んでごちゃ混ぜにしたような、気持ちの悪いオタクな曲だ。

 

 自転車を漕ぎながらの通学中、古本屋での立ち読み中、よく聴いていた。曲が200曲ぐらいしか入らないようなiPodだったから、繰り返し繰り返し。
そのせいで、青春の曲といえば、ゆずの夏色やGReeeeNの何とかとかいう曲ではなく、まずこの曲を思い浮かぶ。今でも調子がいいとき悪いとき、たまにそのワンフレーズを口ずさんでしまう。

 

貧乏なお宅の赤子を引き取り
手足外して人間パズルじゃ
どんどんできるよ即席奇形児

 

 時は経ち大人になり、小さいながらも安定した職に就いた。
「絶対転職する!」
とうだうだ言いながら4年、気づけば結婚までしてしまい、もう身動きが取れない。お金もある程度は入ってくるようになった。「人とは違う何かになりたい」という野心も薄れた。勤務中、「今晩の夜ごはんは何を作ろうか」と考えている自分がいる。

 

 周りを見渡す。
幼馴染のサブカルの友人たちは、大学卒業と同時に足を洗ったか、本当に自殺してしまったか、理論物理学博士号課程とかいう魔境に入ったか、だいたいそんなとこ。
どっちつかずで腐敗しているのは自分くらいだ。

 

ーさっきからぶつぶつ言っている独り言なに?

ー聞こえてた?むかし好きだった歌

ーへーそう

 

船は出ていく東京湾から
あふれんばかりの奇形児を乗せて
もしもどこかで出会うことあれば
どーぞよろしく伝えてちょうだいな