夢の話

寝る前のお話係は決まってぼく。 「ママは話下手」 と娘は言ってぼくにしか話をねだってこない。娘の出す即興のお題に答える形で「〇〇するちいかわ」という話を2つ話すのがぼくの日課。 「ライオンに食べられると思ったら犬だったちいかわ」 「ちいかわのマ…

ライブドアブログで会った人なの

トラウマ・ロリポップという、当時はまだ隙間だったジャンルでそこそこ売れたバンド、アーバンギャルド。 彼らが10年以上前に出した迷曲に「保健室であった人なの」という曲がある。特徴的なフレーズを繰り返すこの曲、「なにかネタ元があるんだろうな」とぼ…

転職活動エピソード4

地方公務員を辞め民間のIT企業に転職してしばらく経った。 転職活動なんてとっくの昔に終わったから「転職活動エピソード」のタイトルで続けるのはどうかと思ったけど、早くも次の転職を考えるようになったので、このタイトルで続けることにする。以下、早く…

ベッドタイムストーリー

家族3人、川の字になって寝るため妻と会話ができない。娘は自分の入れない話を始めると怒るので。 しょうがないから、妻に話したかった「友人が30すぎで童貞を捨てるまでの顛末」を"K君ごっこ"という人形劇で再現したところ娘に大ウケ。もう5回は上演した。 …

転職活動エピソード3

30代、未経験、IT転職、現職地方公務員 だったので、分をわきまえて条件はできるだけ低くした。 会社規模:中小ベンチャー 年収:400万 年休:100日 結果、第一志望としたチャットボットの開発会社から内定を貰えた。提示された条件は以下のものだった。 (…

転職活動エピソード2

未経験エンジニアの募集のほとんどは詐欺だ、という話を聞いた。 『月給30万〜で君もPythonエンジニアだ!』 の文句に惹かれていざ入社してみると、SES(客先常駐エンジニア)とは名ばかりの、コールセンター業務に月給20万で従事させられている例がザラらし…

転職活動エピソード1

30代で未経験だけどITエンジニアになりたくて、藁にもすがる思いでITコンサルの兄に相談したところ、『テスター』という業種を勧められた。 デバッガーとも呼ばれるその業務は、プロダクトをありとあらゆる角度から触り尽くすこと。ITとは名ばかりのライン業…

転職活動エピソード0

「OCRの営業兼開発者になりたい」と思い、ちょうど募集を出していたある中小企業の採用面接に応募すると、社長が面白がって会ってくれることになりました。 民間経験無しの30代地方公務員は転職市場では雑魚。「300万スタートの中小企業でもいいか」と腹を括…

テクノは生きている

特別お題「今だから話せること」 ぼくらの結婚式のアルバムをめくりながら、その男は言った。 「これじゃあ細君というよりも"太君(ふとぎみ)"やね」 ぼくは苦笑するしかなく、その男の隣に座った妻は怒ったような声で「これでも40キロ台でした」と答えた。 …

シーサイド美術館

その曲は気だるいピアノの演奏から始まる。 筋肉少女帯を脱退して迷走に迷走を重ねていた大槻ケンヂが、特撮というバンドで発表した迷アルバム『夏盤』。その最後を飾る曲、それがシーサイド美術館。 誰も来ない、というかそもそも人すら住んでいない地方の…

娘は天才かもしれない

親バカの自覚は十分にあります。 2歳2ヶ月の娘は天才かもしれない。 娘は論理的思考力がある。先日、娘と一緒にお風呂に入っていたとき、ぼくの股間を指差し「パパはしっぽあるのにママはしっぽない……」と独り言。 その後十数秒間考えるような仕草をして「あ…

ポケモンごっこ

22歳の新人と30歳のぼくの同期がポケモンのアニメの話をしていた。 「30にもなって何がポケモンだよ」と、ぼくは内心嫉妬しながらも、可愛い新人と楽しそうに話す同期の話を盗み聞く。サトシがついに引退するという話らしい。 「ポケモンとか懐かしいなぁ。…

職場がはじまるまで。それまでは人にふれてさみししをごまかす。 はじまってしまったら、忙しくて疲れてねむる。 こうやってするのも、あとすこしだけ。 仕事と労働組合と育児と保護者会に追われ所帯染みたしまった心を解すのは、ネットで見つけたメンヘラの…

LINEが開けない病

メールやLINEだとレスポンスがあって嬉しい反面、「返さなきゃ…」が負担になり、通知を見るのも億劫で、返信しようと思ったころには相手に愛想を尽かされることが多い。 育児と仕事と組合活動と家族問題が重なってのキャパオーバーで、LINEの既読はおろかア…

いつまでも絶えることなく友達でいよう

――あ ごめん 寝てた? ――悪かったな 遅い時間に いや別に 何でもないけど 少し話したいことがあってさ さっきまでインターネットでエロ動画を観てたらな…… ――いやいや するする 既婚者だって むしろ既婚者だからこそするって ――それでさ 今晩したのはコスプ…

ぼくらがHatenaに残る理由

元カノのnoteを読んだ。 2015年、新卒一年の春に付き合った人だ。 ぼくへの言及は特になく、「2015年はずっーと鬱で死にたかった」とその年を総括。 やっぱいい女性だったんだなぁ〜、と涙がポロポロ

軽石サイドの陰謀

祖母の三回忌が鹿児島であったため、夏休みを利用して妻と娘を連れて鹿児島に行った。その際に中継地として訪れたのが与論島。 沖縄本島でもまずお目にかかれないほど透明な海と白い砂浜にいたく感動したのだが、それでもやっぱり目につく砂浜の黒い斑点。一…

北海道自慢

北海道庁の入庁試験の成績が良かったことが自慢だ。 全体で2位。 四則演算のような単純労働でひとり居残るオフィスの中、「もし、あの時に北海道庁を選んでいたら、今より良いコースが歩めてたかもしれない」と思うことが多々ある。が、その5秒後には「でも…

ねこを自称する女

青春とは、華やかで、明るい、開かれたたものだろうか。それとも、かび臭くて、陰鬱な、抑圧されたものだろうか。 むろん、様々な青春があると思う。人それぞれ、時代に応じ、いろいろな環境によって。 ただ一つ言えることは、ぼく自身のそれは後者であった…

保護者会で袋叩き

繁忙期と業務改善のアプリ作成が重なり、この4月は例年にない忙しさ。 平日は毎日21時までの残業し、休日出勤だって出勤している。 計12連勤。身も心もボロボロだ。 「もう80時間には届いたかな」と思ったらまだ40時間。 4月末までこのペースで働いても、過…

「堕落論」ー坂口安吾

大韓民国において、キノコ雲を伴うあの原爆の写真は、日本の帝国主義の敗北と民族の復活を祝う『光復節』を象徴するものとして、一部界隈で愛されているらしい。 非戦闘員を無差別大量虐殺したあの兵器を好意的に評価するなんて言語道断だ。 しかし、事実と…

ヤングケアラー

娘と遊びに公園に行った際、そこで見る娘と同じ背丈の幼児たち。一人で滑り台で遊んだり、親相手に2語文を話したりしている。娘よりもだいぶ賢そうだ。 街で同じ背丈の子を見るたびに、娘と比較しては彼女の知能の発達に不安を感じることが増えた。 そんな毎…

義父はちいかわ

義父の名前で検索をすると、爆サイやグーグルマップの口コミに書かれた奇人エピソードがヒットする。 記念にエコーの写真を貰えないか、と相談した際には、「素人が見てもわからないでしょ」と鼻で笑われ断られました。 長男の出産の際に利用しましたが、対…

青梅線

付き合って2年になる彼女から「話したいことがある」と言われたとき、その内容には察しが付いていた。 「実はソープで働いているの」 店舗型というのは意外だった。気難しいところがある彼女のことだから、デリヘル、よくてパパ活だと思っていた。 そうして…

共同体考

最近読んだ政治学の本に以下のような記述があった。 人は以下3つの領域に包括されてきた。 【第一領域】愛情 家族、恋人、友人 【第二領域】権力 国家、地域コミュニティ、宗教、労働組合 【第三領域】貨幣 市場 資本主義の進展により、第三領域が第一、第二…

【GB】ポケット ボンバーマン

小学2年生のころ、友達の友達からゲームを借りたことがあった。 ゲームボーイ版のボンバーマン。 1か月の約束で借りたそれを、ぼくは2週間くらいで失くしてしまった。 貸主は友達の友達という遠い関係性上、頻繁に顔を合わせる人ではなかった。「失くしたの…

仲良し

帰省し4年ぶりに中学の友だち4人と集まってご飯を食べた。 この4年間、結婚や子供の誕生や転職やみんな色々あったはずなのに、そんな話はそこそこに、RTA JAPANの話やコードギアスの話で盛り上がった。 今でも似たようなものが好きで、数年に一度しか会わな…

筋肉少女帯の好きな曲

サザンオールスターズ、宇多田ヒカル、筋肉少女帯、内田百閒、風来のシレン……、と好きなものは数あれど、好きだからといってさほど詳しいわけでもない。作品を全て追えているわけでもない。 オタク同士の会合では、対象への愛はその詳しさとニッチさに比例す…

むかしの友達探し

10年前に遊んだ友達を探してみようとGoogleで名前を検索。 同窓会ネットワーク番外地で育ち、FacebookはおろかLINEも大学以降の付き合いしか登録のないぼくにとって、地元の知り合いの検索が毎年末の恒例行事。空気忘年会みたいなもの。 彼は中学のころクラ…

下北沢散歩

「30年前のバブル真っ只中では夢の億ションだったのよ」 と義母が見上げながら自慢げに話すそのマンションが妻の実家。ぼくは未だ上がったことはない。 婚約の挨拶を済ませても、入籍してもぼくは妻の実家には上がらせて貰えなかった。学歴とかのことが引っ…