ぼくら淫夢世代

むかしの小説でよく見る、ふとした拍子に元軍国少年だったり、元学生運動の闘士だったりするのが分かる描写が好きなんだけど、ぼくらの世代のそれを考えると、それらに代わるのが淫夢くらいしかないと気づいてかなしくなった。

 

「若い頃に何か大きな諦めを経験したような、どこか達観した雰囲気(元学生運動家)」 

 

みたいなかっこいい表現はもう時代遅れで、ぼくらの世代はこう。

 

「『やりますねぇ!』咄嗟に出たその歓声が、男の暗く陰鬱な学生時代を雄弁に物語っていた(元淫夢厨)」

 

戦争や革命、大きな物語に陶酔できなかったぼくら世代にとって、画面の向こう側で一身に嘲笑を受けながらも迫真の演技、本気の咆哮を見せ命の限りホモセックスをする野獣先輩、彼は暗い青春の光でありキリストであり汚点だった。

 

今ではニコニコ動画すら開かなくなったけど、同世代のふとした一言や動作から元ホモガキ臭がすると、ふふふ、と笑い、次に自分の暗い学生時代を思い出し後悔、みたいな毎日を繰り返している。