真っ暗だった思春期のころ、男女問わず自傷癖がある人たちに囲まれていた。
オタクと言えども自分が大好きだったぼくには自傷癖なんてなく、理解できなかった。
自殺したい瞬間は何度もあったが、毎回歯を食いしばって踏みとどまった。
ーやるときは一発で決める。
癖だなんて習慣化させるのはダサいと思っていた。
でも死にたい人間の気持ちはわかる。
「昨夜切っちゃったのーw」
とまるで前髪カットのような気軽さで、笑顔でぼくに手首を見せてくる彼女を見て、(おれがいるのに…ダメか?)と思ったり、(おれだからダメか…)と思ったりした。
自傷行為者への声かけ。
「もっと自分のこと大切にしなよ」
と言えたらどんだけよかっただろう。そんな陳腐な言葉を自分の口から出すのがイヤだったし、そんなこと言えるような崇高な人間でもなかった。
「写真くれたやつ?キレイだったよ」
とか
「今回はちゃんと消毒したー?」
とか、声かけはそんな感じ。
そもそも死にたいから自傷行為をしてるのか、ただのガス抜きなのかも聞けなかった。
そういう価値観を否定しないし、そういうことする君も好きだ。
そんな宙ぶらりんなスタンス。
さっきツイッターでこのツイートが流れてきて、ふと昔のことを思い出した。
これだ、これなんだよな。
たとえ陳腐でも相手の心に響かなくてもいい。
「ぼくはあなたのことを大事に思ってる。だからもっと自分を大事にして」
オタク、その一言が言えない。