ムーミンぐらんぷり

本日出社すると同僚にM-1グランプリの話を振られた。

「今朝めざましテレビで出てたね」

と応える。

めざましテレビなんて見てないけど、適当な相槌。彼が話を続ける。

 

M-1グランプリ、昔は大好きでDVDまで借りて繰り返し観てたけど、ここ数年は全く観ない。鬱が原因だと思う。人の不幸話以外では笑えないのだ。

 

ミルククレープが優勝したんだけどさ、

 

と同僚が続ける。

 

その時間帯は何をしてたんだろう、とぼんやり考える。日曜の20時、たしか妻からムーミンの話を聞いてた。妻のムーミン漫談だ。

 

三者が聞いたらぜんぜん面白くないような話だったから割愛するけど、ぼくはその妻のムーミン漫談でげらげらと笑った。似てるか似てないかよくわからないムーミンパパの真似が可愛くて、滑稽で笑えるのだ。

 

12月22日、日曜。リビングで夕飯を食べ終わったぼくらは、「そう言えばムーミンってどんな話なの?」という、ぼくの問をきっかけに、にわかファンの妻からムーミン漫談を聞いた。

 

彼女は薄い知識でムーミンのすべてを語ろうとするものだから、整合性の取れてない穴ぼこだらけの話で、その不完全さが面白かった。たまにチャチャを入れながら彼女の話を聞く。

 

話がひと通りおわり、キッチンで茶碗を洗うぼくの背で妻が一言。「なかなか子供ってできないね」って。

 

そうだね、と答えた。

 

ふとした瞬間に悲しくなることが多々あって、最近は独り言が増えため息も増えた。

 

子供の予定が1年、2年、と延期するにしたがって、空白を埋めるように部屋にはムーミンのぬいぐるみが増えていく。