彼は三十数年間警察官僚として昼夜なく働き、結果良い天下り先に恵まれたの。
「さあこれから第二の人生だ!家庭を顧みなかった数十年だったから、妻には迷惑かけっぱなしだった。たくさん旅行に行ったりして慰労してやろう」
と思っていた矢先、妻は病気で先立ってしまったんだって。52歳。若いよねー。
その時、旦那さん気づいたんですって。
――仕事を頑張ってたのは、より豊かになって、妻に贅沢させたかったから、だったって。
――美味しいご飯を食べるのがしあわせではなく、美味しくご飯を食べるのがしあわせなんだ、って
だからね、お兄さん、市役所の公務員で恵まれてるかもしれないですけど、本当のしあわせっていうのはね、経済状況とかではなく、心のあり方なんですよ……
以下婦人部のありがたい話が続く。
途中までは、顕正会の説法としてはいい話だな、と不覚にも思ってしまったが、『警察官僚』の彼女の叔父さん、と『市役所職員』のぼく、という対比に、何だか腹が立ってきて後半はまったく折伏が身にしみなかった。
そもそも『顕正会員の姪を持つ警察官僚の叔父さん』ってなんだ。顕正会員の身内がいる公安官僚なんてリアリティがなさすぎる。
思い返してみれば明らかな嘘だ。