ライブドアブログで会った人なの

トラウマ・ロリポップという、当時はまだ隙間だったジャンルでそこそこ売れたバンド、アーバンギャルド。

 

彼らが10年以上前に出した迷曲に「保健室であった人なの」という曲がある。特徴的なフレーズを繰り返すこの曲、「なにかネタ元があるんだろうな」とぼくは薄々思っていたが、彼女のブログにその答えがあった。

平沢進がやっていたバンドの美術館であった人だろが元ネタだよね

インターネットの開通が遅く、平沢進というサブカルの基礎教養すら持ってなかったぼくは、今では言及するまでもない常識、であるはずのその書き込みですら、博学に裏打ちされた尊いものだと思った。

 

 

学生時代、このはてなブログを始める以前に、ぼくはライブドアブログをやっていた。内容は現在と大した差はないが、暇な学生だっただけに更新頻度は今よりずっと高かった。

 

今とは違いブログ上での交友関係もあった。それが彼女。ツイッターでのフォロー・フォロワー関係に近い。

彼女はぼくと同じ大学生で、サブカル方面の投稿をよく行っていた。

もともとアメーバピグだったけど、アクセス分析が細かくできるからライブドアに移ったの

という彼女には、女子高生時代からの固定客がおり、ブログでは頻繁に顔出しもしていた。ブログだけで、月10万は稼げていたというから驚きだ。

 

彼女とはブログで頻繁にコメントを交わし、実際に1回会ってランチをしたことがあった。

 

それよりも思い出に残っているのが、メールでのやり取り。お互い長文になるので、頻繁にではないが、2ヶ月で計30通ほど。長い長いメールのやり取りをした。

ブログを書けば金が入ってくる彼女の文章を独占しているのは、申し訳ないような、優越感を覚えるような、とても不思議な感覚だった。

結局、ぼくが書いた長いメールに対する彼女からの返しがなく、それが最後になった。

 

10年近く経った今となっては、彼女の顔すら思い出すことはできないし、そこまで可愛くなかったような気もしている。それでも、gmailに残った過去の長文メールを読むと、好きだったんだなぁ、という当時の感覚を今でも昨日のように思い出せる。